舞台は社会福祉士国家試験の合格率が60%台を
誇る日本社会事業大学(東京都清瀬市、大橋謙策学長)。
国家試験の漏えいの詳細は後述するとして、
まずは社会福祉士について説明しておこう。
厚労省によると、社会福祉士とは
「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づき、
身体や精神上の障害、環境上の理由で日常生活に
支障がある人の福祉に関する相談にのり、
助言や指導、援助などを行う資格である。
在宅介護支援センターや身体障害者更生援護施設、
福祉事務所、児童相談所などで相談員や指導員を担う、
福祉を行う上で必要とされている専門職だ。
年1回実施される国家試験及び登録は、
厚労省指定の財団法人「社会福祉振興・試験センター」
が施行。試験科目は社会福祉原論など13科目の筆記試験。
年々、受験者は増え続け、今年1月28日に行われた
試験では4万5022人が受験した。合格者は1万2345人、
合格率は27.4%だった。
日本社会事業大学は千五の1946年、
GHQの要請に基づき創設されて以来、
厚労省の委託を受け、福祉行政を担う人材を養成してきた。
同省からの年間委託費は約4億7000万円。
同省の専門官らと大学教員の間で人事交流も多く行われ、
いわば“半官半民の大学”だ。理事長は長尾立子氏。
長尾氏は厚生省社会局長などを歴任し、
第一次橋本内閣では法務大臣に就任した人物である。
疑惑が発覚したのは、昨年12月19〜21日にかけて
同大で行われた「2006年度 社会福祉士
精神保健福祉士 学内模擬試験解説講座」直後のこと。
同講座で通信生を含む全受講生約800人に配布された
資料集を見て、疑問に思った学生から大学に問い合わせ
があったという。
受講生の一人は語る。
「公表されていないはずの心理学の出題者3人の
実名や大学名が出ていたんです。
専門分野まで紹介されていました。
素人の学生には専門分野まで特定できなかった
ので大変助かりましたが、こんなことを知っているのは
マズイと思ったんです。実際の試験問題も10問中2問が
模試とほぼ同じ内容です。また、9問はテキストを読めば、
解けるようになっていました」
学生から「出題者や試験問題の漏えいではないか」
と指摘を受けた大学は昨年12月25日、
「対外的に誤解を生む恐れのある箇所がありました」
とする文書を受講生に郵送した。そこには、
「このページを切り取り、破棄をお願いします」と、
具体的な科目名と該当ページを示し、「削除・破棄」
を指示していた。
本誌は破棄される前の、この資料集を入手した。
当該ページを開くと、確かに、こう記されていた。
〈出題者は、A氏(日本大学)、B氏(長崎国際大学)、
C氏(日本社会事業大学)の3氏である〉
(文書ではA、B、Cは実名)
いうまでもなく、試験委員を含む指定試験機関の職員は、
試験事務に関して知りえた秘密を漏らしてはならないと、
社会福祉士及び介護福祉士法の規定によって厳しい
義務が課せられている。違反した場合、
1年以下の懲役、または30万円以下の罰金で処分される。
大学によれば、作成した心理学の担当教員は
国家試験対策委員長でもあったD氏だという。
社会福祉士の試験委員ではないが、元厚生省専門官の教員である。
社会福祉士国家試験については、
50人余りの試験委員の名は明かされているが、
各科目の出題者や人数は公表されていない。
それなのに、心理学の出題者の実名を挙げ、
3人であることまで断言しているのだ。
特にC氏は同じ大学の教員で、
学生がじかに聞きに行くことも可能なのである。
それどころか、03年1月実施の第15回試験以降、
年度別に出題者3人の実名を記載。第15回と第16回試験では、
D氏自らも出題者だったことを暴露した。さらに、
第19回では再び〈07年1月実施予定 A、B、Cの初仕事〉
と紹介。C氏は初めての出題者であることまで記載していた。
また、ご丁寧に出題者3人の専門分野まで、こう説明されていた。
〈研究者としての本来の専門分野は、
A:記憶・学習、B:理学療法士の免許を持つ人で
高齢者介護の実践家、C:乖離等の臨床心理学、
特に不登校、いじめ等の思春期の児童問題、
発達・アタッチメント、である〉(原文ママ)
実際の国家試験でも、記憶、高齢者介護、
アタッチメント(愛着)に関する問題が出題されている。
学生から「漏えい」と指摘のあった二つの問題も、
講座の模試と比較した。
確かに135ページの問1〈短期記憶をワーキングメモリー(作業記憶)
という〉を知っていれば、実際の試験問題42の解答は
〈1、短期記憶…〉であることが分かる。
144ページの問10〈A動作法〉の解説は、
問題49の正答3に類似。素人の記者にも、解くことができた。
実際、心理学の講座を講堂で聞いた当時4年生の学生は、
こう振り返る。
「D先生は心理学の毎年の先生の名を挙げて、
誰がこれを出したとか、こんなバカな問題はない、
くだらないよね、などと言ってました。今年はこれが出る、
これは出ないと事細かく教えてくれたので
『心理学は問題集をやらなくても、これだけでバッチリ。
ありがたい』と喜んでたほどです。
特に今年はC先生だから、アタッチメントは必ず出ると言っていて、
実際にアタッチメントが出たときは、
ああ本当に出たんだ、と驚きました」
これでは「試験問題の漏えい」といわれても
仕方ないではないか。そこで、厚労省に対応を聞いた。
「本人を聴取しましたが、推測だったと否定しています。
試験委員から漏れたのかどうか、今のところ証拠がなく、
そういう事実は確認していません。
推測を勝手に断定したとすれば、ご本人の責任。
軽率との判断はあります。具体的な情報などがあれば調査したい」
(福祉基盤課・福祉人材確保対策室)
厚労省は「本人が否定している」と、
真剣に調査する気もないようだ。
厚労省出身者が多い大学だけに、
「問題にしたくない」という意図すら感じられる。
一方、同大によると、今年の社会福祉士国家試験の
合格率は六十数パーセント。金井博事務局長がこう言う。
「出題者が3人であるという書き方は推測だと考えており、
試験問題の漏えいにはつながらないと理解しています。
担当教員には学長が口頭で注意し、
試験対策委員長職を外しました。
今後は誤解を招くことのないよう、全教員に周知徹底しています」
前出の学生がこう憤る。
「大学がどう弁明しようと、一部の人間だけが
こうした情報を持って受験するというのは不公平です。
この講座のおかげで心理学の勉強時間は
ほとんどいらなかったので受講生はだいぶ得をしたと思います。
D先生は『出題者はA、B、Cが5問ずつ持ち寄って、
どれを出すかはリーダーのC先生が決める』
ということも教えてくれました。ただ、
なぜ情報が漏れたのか。大学は問題を
うやむやにするのではなく、きちんと説明して改善してほしい」
社会福祉士に詳しい日本女子大人間社会学部の
岩田正美教授は、こう指摘する。
「何となく推測はつくかもしれませんが、
試験前に特定の科目の出題者を印刷するのはまずいでしょう。
国家試験は受験生はもちろん、社会にとって公平性、
透明性が求められます。特に社会福祉士は命や
人権の基本にかかわる仕事をしますから、
こういう問題には敏感でなければなりません」
学生の一人は、厚労省や大学理事長、学長、
学部長に疑問点を問い合わせたものの、
返答はなかったと話している。
損得を抜きに行動した学生を相手に、何とも大人気ない話である。
「いま、人材についての見直しを議論していて、
合格率が問題になりました。養成校同士の競争の中で、
敏感にならざるを得ない事情も分かります。
しかし、国家試験はフェアにやるべきです。
難しいとかの問題があるのなら、
試験そのものの中身を議論すべきでしょう」(前出・岩田教授)
もっとも、コムスンや年金記録の問題を見れば、
長年染みついた事なかれ体質が、妙に納得できてしまうから情けない。どこを見渡しても、後手後手に回る厚労省の対応。
安倍首相の言う“美しい国”とは裏腹の、
身内同士をかばい合う対応には、
ただただうんざりさせられるばかりである。
【日記の最新記事】



ゆゆしき問題ですが、他がほんとんど取り上げていないのが、不思議です。
がんばれ、ゆーさん
すごいネットワークでおさえこんでいる人がいるらしいです。
私は社会福祉士合格ゼミナールとか、あちこち問題提起したことありますがいつのまにか消されました。
ここのブログ・掲示板も一度消えたのは何か言われたんじゃないですか。
きっとイワシさんと仲間が頭いいから、それを逃れて別のをまた立てたんじゃないですか。
今のところ、まだ厚生労働省とか大学とかに見つかってないから、おどされてないんですか。
でもここの掲示板にもCだかDだか本人みたいのが出てきて、必死で、あれは悪くなかったとか、批判するのは幼稚だとか、書き込んでる人が、違う名前でも書き方が同じっぽいからわかるとか、学生をおどしてましたよね。
「おまえ誰だか先生にはわかってるぞ」と言ってるんだとわかった。
社事大の中でも前のブログに書かれたけどいろいろ学生ががんばってたのに、その学生たちも今は飽きたんだろうな。
どうせ自分らが得してるんだから、世間に知れたとたん、やばいと思ってやめたのかもしれない。
でなきゃ、その先生のおどしに急にびびったか。
ここの掲示板書く人少なくなったですよね。